「月商〇〇万円なら、いくらで売れるのか」という疑問に、実際の掲載データをもとにお答えします。月商と譲渡希望額の関係を具体的に見ていきましょう。
この記事でわかること
- 月商と譲渡希望額の関係
- なぜ「月商」だけでは金額が決まらないのか
- 月商レンジ別の目安の考え方
- 自分のケースで目安を知る方法
月商がそのまま売却額になるわけではない
売却額の基準になるのは月商ではなく「営業利益」です。
「月商100万円のショップです」と聞くと大きな金額を想像しがちですが、売却額の算定に使われるのは売上(月商)ではなく利益です。原価率・広告費・配送コストを差し引いた後の営業利益がベースになるため、同じ月商100万円でも、利益率20%のショップと利益率5%のショップとでは、譲渡希望額に数倍の差が出ることも珍しくありません。
中小企業庁の中小M&Aガイドラインでも、事業の値付けは売上高そのものではなく収益力(利益)を基準に考える手法が紹介されており、これは大企業のM&Aだけでなく個人規模のEC事業譲渡にも共通する基本的な考え方です(出典:中小企業庁 中小M&Aガイドライン)。月商が同じでも、原価率の高い商材(食品・雑貨など)と利益率の高い商材(アパレルのオリジナル商品など)とでは、営業利益の絶対額に大きな差が出るため、まずは自分の事業の利益率を正確に把握することが最初の一歩になります。
売上と利益を混同したまま相談に臨むと、「思っていたより評価額が低い」というギャップにつながりやすいため、事前にこの2つの数字を分けて整理しておくことが、納得感のある査定を受けるための第一歩です。
月商レンジ別に見る実際の傾向
shoppal M&Aの掲載案件は月商「〜100万円/月」に集中しています。
現在掲載されている47件は、いずれも月商レンジで見ると「〜100万円/月」に区分される小〜中規模の案件です。この規模感でも、利益率や運営年数の違いによって、譲渡希望額は30万円台から800万円台まで幅広く分かれています。
副業でネットショップを運営している方の多くはこのレンジに該当するため、「月商が大きくないから売却できない」と考える必要はありません。むしろ、この規模帯こそ個人の買い手にとって手が届きやすく、活発に取引されているゾーンです。トランビの公表データでは、500万円以下で即座に交渉に進める案件が200件を超えるとされており、比較的小さな金額帯の取引が全体としても活発であることがうかがえます。
このように、小規模帯の取引が活発であるという傾向は、shoppal M&Aだけでなく業界全体で共通して見られる傾向です。「小さい事業だから相手にされないのでは」という不安を持つ必要はありません。
目安金額の簡単な計算方法
- 直近6ヶ月の月次営業利益を出す(売上-原価-広告費-諸経費)
- その平均値を出す
- 平均値 × 36(3年分の利益相当)を目安額とする
たとえば直近6ヶ月の平均利益が3万円なら、目安は108万円前後になります。細かい調整は無料相談の中で行われますが、まずはこの計算だけで大まかな相場感がつかめます。
一時的なセールや広告出稿で跳ねた月だけを見て平均を出すと、実態より高く見積もってしまうため注意が必要です。半年〜1年単位でならした数字を使いましょう。逆に、繁忙期を含まない期間だけで計算すると実態より低く出てしまうこともあるため、少なくとも半年、できれば1年分の数字で確認するのが理想です。
月商レンジと営業利益レンジを組み合わせて考える
shoppal M&Aの案件情報には「月商レンジ」と「営業利益レンジ」の両方が掲載されています。月商が同じ「〜100万円/月」の案件でも、営業利益レンジが「〜100万円/月」の中でどのあたりに位置するかによって、実際の譲渡希望額は大きく変わります。案件を探す側(買い手)にとっても、この2つのレンジをセットで見ることで、利益率の見当がつけやすくなります。たとえば月商が90万円で利益が5万円のショップと、月商が40万円で利益も5万円のショップでは、後者の方が利益率は高く、原価構造や広告依存度の面で運営効率が良いと判断される可能性があります。
月商が伸びている最中に売るべきか、伸びきってから売るべきか
成長中のタイミングは評価が上がりやすい一方、実績データの厚みとのバランスが重要です。
月商が右肩上がりで伸びている最中のショップは、買い手にとって「今後も伸びる期待値」が加点材料になり、単純な過去実績以上の評価がつくことがあります。一方で、成長期間が短すぎると「一時的な伸びかどうか」を判断する材料が不足し、慎重に評価されることもあります。理想は、成長トレンドが数ヶ月以上続いていることを示せる状態で相談することです。
よくある質問
開業したばかりで実績が半年もない場合はどうなりますか?
実績期間が短いと評価が慎重になりがちですが、成長率の高さや将来性をアピール材料にできる場合もあります。まずは相談してみましょう。
複数店舗をまとめて売却する場合、計算方法は変わりますか?
基本的には店舗ごとに月次利益を算出し、合算または個別に評価することになります。詳細は個別相談で確認してください。
在庫資産は目安額に含まれますか?
在庫の評価は別枠で加味されることが一般的です。営業利益ベースの目安額とは別に、在庫の時価も交渉材料になります。
月によって利益が大きく変動する場合、どの数字を使えばいいですか?
変動が大きい場合は、直近6ヶ月〜1年の平均値を使うのが基本です。極端な月だけを切り取らないことが大切です。
目安額より高く売れることはありますか?
あります。顧客資産やブランド力など、倍率法だけでは反映しきれない要素が評価され、目安額より高い金額で成約するケースもあります。
まとめ
- 売却額の基準は月商ではなく営業利益
- 目安額は「直近6ヶ月の平均月次営業利益 × 36」で計算できる
- shoppal M&Aの掲載案件は月商〜100万円規模が中心で、30万円台〜800万円台に分布
- 成長トレンドの見せ方次第で評価は上下する
具体的な数字がまとまったら、売却相談フォームから無料で目安を聞くことができます。実際の掲載案件と見比べたい場合は案件一覧も参考にしてください。
月商だけでなく「客単価」と「購入頻度」も評価に関わる
同じ月商でも、客単価が高く購入頻度が低いショップと、客単価が低くリピートが多いショップとでは、評価の視点が異なります。
客単価が高いショップ(インテリア・高額アパレルなど)は、1件あたりの利益貢献度が大きく、広告費の投資対効果を計算しやすいという特徴があります。一方、客単価が低くリピート購入が多いショップ(消耗品・日用品系など)は、顧客生涯価値(LTV)の高さが評価材料になります。①客単価②リピート率③新規顧客の獲得コスト、この3つの数字をあわせて把握しておくと、月商だけでは見えない事業の強みを説明できるようになります。
目安額はあくまでスタートライン
ここで紹介した計算式はあくまで交渉のスタートラインを示すものであり、最終的な成約額はこの目安から上下することが前提です。買い手との相性、譲渡のタイミング、市場全体の動向によっても金額は変動します。目安額に固執しすぎず、幅を持った金額感で臨むことが、スムーズな成約につながります。
具体的な数字がまとまったら、売却相談フォームから無料で目安を聞くことができます。実際の掲載案件と見比べたい場合は案件一覧も参考にしてください。
早見表:営業利益別に見る目安額のシミュレーション
平均月次営業利益の水準ごとに、目安額はおおよそ次のように変わります。
- 平均月次利益1万円の場合:目安額はおよそ36万円
- 平均月次利益3万円の場合:目安額はおよそ108万円
- 平均月次利益5万円の場合:目安額はおよそ180万円
- 平均月次利益10万円の場合:目安額はおよそ360万円
- 平均月次利益20万円の場合:目安額はおよそ720万円
この早見表はあくまで倍率法によるシンプルな試算であり、実際の成約額は運営年数・リピート率・引き継ぎやすさといった加点要素によって上下します。それでも、自分の事業がどのゾーンに位置するかをイメージするための最初の物差しとして活用できます。
利益を伸ばしてから売る、今すぐ売る、どちらが得か
「あと数ヶ月、利益を伸ばしてから相談した方が高く売れるのでは」と考える方も多いですが、利益を伸ばす過程で時間と労力を投下するコストと、今の評価額で早期に現金化するメリットを天秤にかける必要があります。特に本業が忙しくこれ以上手をかけられない場合は、無理に利益を伸ばそうとするより、今の実績のまま早めに相談する方が、結果的に納得のいく着地になることも少なくありません。
譲渡希望額と「実際の成約額」の差はどのくらいか
掲載時の希望額はあくまでスタート地点であり、交渉を経て上下するのが一般的です。
買い手からの問い合わせが複数あった場合、条件(引き継ぎのタイミング、サポート範囲、支払い方法)次第で成約額が希望額を上回ることもあれば、逆に在庫評価の見直しなどで下がることもあります。トランビの公表データによれば、売り案件1件あたり平均15件の交渉申込があるとされており、複数の候補と条件をすり合わせる中で、最終的な着地点が見えてくるプロセスが一般的です。焦って最初の提示額で即決するのではなく、複数の視点から条件を比較する余裕を持つことが、納得感のある成約につながります。
分割払い・アーンアウト条項という選択肢
まとまった金額を一括で用意できない買い手のために、譲渡代金を分割で受け取る、あるいは引き継ぎ後の一定期間の業績に連動して追加の対価を受け取る「アーンアウト条項」を設定するケースもあります。これにより、買い手にとっては初期投資のハードルが下がり、売り手にとっては将来の成長分を追加で受け取れる可能性が生まれます。ただし分割払いは売り手側に未回収リスクが残るため、契約書での取り決めを慎重に行う必要があります。
目安額の計算を後押しする無料ツールとしての会計ソフト
クラウド会計ソフトを導入していれば、損益計算書を数クリックで出力でき、目安額の計算がぐっと簡単になります。まだ導入していない場合でも、売却を機に数ヶ月分だけでも記帳を整理しておくと、相談時の説得力が増します。
目安額を算出する際に見落としがちな費用項目
営業利益を計算する際、送料無料キャンペーンの実質負担分、返品・返金にかかったコスト、プラットフォーム手数料、決済手数料といった細かな費用を見落としてしまうと、実態より高い利益で計算してしまうことがあります。①売上原価②広告宣伝費③送料・梱包資材費④決済・カート利用手数料⑤返品対応コスト、この5項目を漏れなく差し引いた数字を使うことで、より精度の高い目安額が算出できます。細かい費用ほど見落としやすいため、直近の請求書や明細を一度洗い出してみることをおすすめします。
なお、これらの試算はいずれも「営業利益」を正しく算出できていることが前提です。売上だけを基準に自己流で計算してしまうと、実態とかけ離れた期待値を持ってしまうことになるため、迷った場合は無料相談で一緒に数字を整理してもらうのが確実です。

