EC事業の売却ノウハウ

EC事業の売却完全ガイド|相場・流れ・税金を解説

EC・ネットショップの売却を考え始めたとき、何から調べればいいか迷う方は多いはず。この記事では相場の考え方・手続きの流れ・税金・仲介の選び方まで、売却の全体像を1本にまとめました。

この記事でわかること

  • EC事業の売却がどんな流れで進むのか
  • 譲渡希望額がどう決まるのか
  • 売却前に押さえておくべき税金・書類の話
  • 自分に合った相談先の選び方

EC事業の売却とは何をすることか

結論

ドメイン・商品データ・販売実績を一式まとめて第三者に引き継ぐことです。

EC事業の売却(事業譲渡)とは、運営してきたネットショップのドメイン、商品ページ、顧客データ、販売実績、場合によっては仕入れ先との関係までを一括で買い手に引き継ぐ取引を指します。会社そのものを売る「株式譲渡」とは異なり、個人事業主が運営する自社ECやAmazon・楽天の1店舗単位でも実行できるのが特徴です。株式譲渡が「会社という箱ごと」引き継ぐのに対し、事業譲渡は「特定の事業だけ」を切り出して引き継げるため、法人格を維持したまま一部の事業だけを売却する、といった柔軟な使い方もできます。

副業として始めたショップが軌道に乗ったものの、本業が忙しくなり手が回らなくなった。逆に、育て上げたブランドをより大きな資本のもとでさらに伸ばしてほしい。健康上の理由で運営を続けるのが難しくなった。売却理由は人それぞれですが、どちらのケースでも「これまで積み上げてきた資産を無駄にしない」ための現実的な選択肢として、EC事業の売却は年々一般的になっています。

なぜ今、EC事業の売却・M&Aが増えているのか

結論

EC市場そのものの拡大と、中小企業の後継者不足という2つの背景があります。

経済産業省が2025年8月に公表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の日本国内のBtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)に達し、そのうち物販系分野だけで15兆2,194億円、EC化率は9.78%まで伸びています(出典:経済産業省 電子商取引に関する市場調査)。市場全体が拡大を続ける一方で、個人が一人で運営できる規模を超えて成長したショップや、逆に運営者の事情で継続が難しくなったショップが、事業譲渡という形で次の運営者を探すケースが増えています。

また、帝国データバンクが2024年に公表した調査では、全国企業の後継者不在率は52.1%と、7年連続で改善が続いているものの依然として高い水準にあります(出典:帝国データバンク 全国「後継者不在率」動向調査、民間調査機関による調査)。個人事業主レベルのEC事業でも同様に、「継ぐ人がいない」「自分の代で終わらせたくない」という声は珍しくなく、事業譲渡というかたちで資産を残す選択肢への関心が高まっています。副業で始めた小さなショップであっても、ドメインの検索評価や既存顧客との関係性は、ゼロから作り直すには時間のかかる資産です。誰かに引き継いでもらうことで、その資産に値段がつき、次のステージに進む原資にできるという発想は、企業規模を問わず広がっています。

譲渡希望額はどう決まるのか

結論

月々の利益に一定の倍率をかけて算出するのが一般的です。

売却価格の目安としてよく使われるのが「直近の営業利益 × 倍率(一般的には2〜4年分)」という考え方です。これは中小企業のM&Aで広く使われる年買法(EBITDA倍率法の簡易版)に基づいており、中小企業庁が公表している「中小M&Aガイドライン」(第3版、2024年8月改訂)でも、第三者への事業引継ぎにあたって収益力をベースに評価する考え方が紹介されています(出典:中小企業庁 中小M&Aガイドライン)。

shoppal M&Aでは、直近6ヶ月の平均月次営業利益に36(3年分)を掛けた金額を譲渡希望額の目安として掲載しています。たとえば月次利益が平均5万円のショップであれば、目安は180万円前後になります。もちろん在庫の有無、運営年数、SNSフォロワー数、リピート率なども加点材料になりますが、まずはこの倍率法で大まかな相場感をつかんでおくと、その後の交渉がスムーズになります。倍率が「36(3年分)」に設定されているのは、買い手にとって「投資回収まで3年」という期間が、個人〜小規模事業の引き継ぎとして現実的なラインだと考えられているためです。極端に高い倍率を求めると、それだけ買い手が見つかりにくくなり、交渉が長期化する原因にもなります。

売却の流れをざっくり把握する

結論

相談 → 案件掲載 → 買い手とのやり取り → 契約という4ステップです。

  1. 無料相談で事業の概要(月商・利益・運営年数・プラットフォーム)を伝える
  2. 匿名の状態で案件として掲載され、興味を持った買い手からの問い合わせを待つ
  3. 審査を通過した買い手に対して財務詳細や店舗URLなどの踏み込んだ情報を開示し、条件をすり合わせる
  4. 譲渡範囲(ドメイン・商品ページ・在庫・仕入れ先情報など)を明確にした契約書を交わし、引き継ぎ作業に入る
注意

注意点として、交渉が本格化するまで店舗名や具体的な数値は開示されません。匿名性が保たれているからこそ、安心して最初の一歩を踏み出しやすくなっています。特に、現在の取引先やスタッフに知られずに検討を進めたい場合、この匿名掲載の仕組みは大きな安心材料になります。

なお、中小機構が運営する「事業承継・引継ぎポータル」では、全国10地域に設置された公的な無料相談窓口(事業承継・引継ぎ支援センター)の案内もされています(出典:事業承継・引継ぎポータル)。法人としての事業承継を視野に入れる規模のEC事業であれば、こうした公的機関の窓口とあわせて検討する価値もあります。

税金と必要書類も早めに確認しておく

結論

個人事業主か法人かで税区分が変わるため、早めに税理士へ相談するのが安全です。

個人事業主が事業譲渡で得た利益は、資産の種類によって課税区分が変わります。国税庁のタックスアンサーによれば、事業用の商品などの棚卸資産の譲渡による所得は譲渡所得には該当しない、という整理がされています(出典:国税庁 No.1440 譲渡所得)。つまりECの在庫や商品自体の譲渡は事業所得等として扱われる一方、ドメインや顧客リストといった無形の資産部分の扱いは案件によって異なるため、金額が大きくなりそうな場合は契約前に税理士へ確認しておくことを強くおすすめします。

消費税についても、国税庁は「事業者が事業として行うものとは」というタックスアンサーで、個人事業者における「事業として」の考え方を示しています(出典:国税庁 No.6109)。事業譲渡に伴う資産の移転が課税取引に該当するかどうかは、譲渡する資産の内容によって変わるため、こちらも専門家への確認が安心です。

必要書類としては、直近の売上・利益がわかる資料(会計ソフトの出力や通帳のコピーなど)、商品一覧、仕入れ先との契約状況をまとめたメモがあれば初期の相談は十分進められます。契約が具体化してくる段階では、これに加えて開業届の控えや、屋号での銀行口座の取引明細なども求められることがあります。早い段階で手元にどんな資料があるかを棚卸ししておくと、後の手続きがスムーズです。

仲介の選び方・他のM&Aサービスとの違い

結論

EC特化かどうかと、匿名性への配慮、そして自分の事業規模に合っているかを基準に選ぶとミスマッチが減ります。

M&A仲介サービスにはいくつかのタイプがあります。バトンズやトランビのように業種を問わず幅広い規模の案件を扱う総合型プラットフォームは、掲載案件数・会員数が多く、選択肢の幅が広いのが強みです。一方、M&Aサクシードのように法人限定で地方銀行や事業承継センターと連携するタイプ、M&A総合研究所のように売上規模1億円〜100億円クラスの法人M&Aを完全成功報酬制で仲介するタイプもあり、いずれも個人が副業で運営する月商〜100万円規模のEC事業とはやや客層が異なります。

shoppal M&AのようなEC特化型は、月商・利益・プラットフォームといった業界特有の指標を前提に会話が進むため、説明の手間が少なく話が早い傾向があります。また、案件が匿名で掲載され、審査を通過した買い手にのみ詳細情報が開示される仕組みは、副業サイズの個人運営者にとって「周囲に知られずに動ける」という心理的なハードルの低さにもつながります。総合型プラットフォームでも匿名掲載自体は一般的な仕組みですが、EC特化型であることで、月商・利益・運営プラットフォームといった条件をベースにした比較検討がしやすくなる点は大きな違いです。

よくある質問

赤字のショップでも売却できますか?

直近が赤字でも、資産(ドメイン評価・過去の販売実績・仕入れルート)に価値があれば売却対象になり得ます。まずは無料相談で状況を伝えてみることをおすすめします。

売却にはどのくらいの期間がかかりますか?

相談から匿名掲載までは1〜2週間程度、そこから買い手が見つかり契約に至るまでは案件によって数週間〜数ヶ月とばらつきがあります。

副業として会社に隠して進められますか?

shoppal M&Aの仕組み自体は匿名で進められますが、副業の可否や申告義務については、お勤め先の就業規則や税務上のルールを別途確認する必要があります。

ヒント

まずは無料相談で「自分の事業がどのくらいの評価になりそうか」を聞いてみるのが、最も低リスクな最初の一歩です。shoppal M&Aの案件一覧(/deals/)を見れば、実際にどんな条件の案件が並んでいるかも参考になります。

事業譲渡と株式譲渡、どちらを選ぶべきか

結論

個人事業主として運営しているEC事業のほとんどは、自然と「事業譲渡」の形になります。

法人化しているショップの場合、会社そのものを売る株式譲渡と、事業だけを切り出す事業譲渡のどちらを選ぶか検討する余地があります。株式譲渡は手続きが比較的シンプルな一方、会社に紐づく簿外債務やこれまでの契約関係も丸ごと引き継がれるため、買い手にとってはリスクが読みにくいという側面があります。事業譲渡は個別の資産・契約を選んで引き継げるため、EC事業のように「特定の事業だけを切り出したい」ケースに向いています。個人事業主の場合は選択の余地なく事業譲渡の形になりますが、法人化を検討している場合は、将来的な売却のしやすさという観点も踏まえて法人形態を選ぶ価値があります。

交渉が難航しやすいポイントとその対処法

結論

価格の認識ギャップと、引き継ぎ後のサポート範囲が交渉の2大論点です。

売り手は「これまで積み上げてきた努力」を評価に含めたいと考えがちですが、買い手は「今後どれだけ利益を生み続けるか」という将来性で判断します。この視点の違いが価格交渉のギャップを生みやすいポイントです。感情的な価値づけと、客観的な収益力に基づく価値づけを分けて考えることが、スムーズな交渉の鍵になります。

もう一つの論点が、引き継ぎ後どこまでサポートするかです。1ヶ月間の質問対応、3ヶ月間の運用同行など、具体的な期間とサポート内容を契約書に明記しておくことで、後々の「言った言わない」のトラブルを避けられます。

以上を踏まえて、まずは無料相談から自分の事業の現在地を確認してみてください。無料相談フォーム、あるいは実際の掲載案件を見てみたい場合は案件一覧からどうぞ。

EC事業の売却・買収をご検討の方へ

当プラットフォームでは、EC事業に特化したM&Aマッチングを支援しています。まずは掲載中の案件をご覧いただくか、売却のご相談をお寄せください。